3年使った結論
私は2023年から、生成AIを業務に使っています。従業員10名ほどの会社で、ひとりIT担当をしている事務職です。エンジニアではありません。
3年経った今の実感を、先に書きます。
作業効率は、体感で10倍くらいになりました。
大げさに聞こえるかもしれませんが、盛っているつもりはありません。以前は営業日単位でかかっていたことが、数分で終わる場面が実際にあります。
ただし、いいことばかりではありません。社内で使っているのは、今も私だけです。その話も含めて、正直に書きます。
2023年、まだ「対話型」しかなかった
使い始めた頃のAIは、対話型だけでした。
こちらが質問して、AIが答える。それだけです。答えを受け取ったあと、実際に手を動かすのは自分でした。
それでも十分に便利でした。調べものの時間が明らかに減りましたから。でも、あくまで「賢い相談相手」という位置づけです。
今は「エージェント型」がある
ここ数年で決定的に変わったのが、エージェント型の登場です。
違いを、できるだけ平たく書きます。
| 対話型(2023年頃) | エージェント型(現在) | |
|---|---|---|
| できること | 質問に答える | 目的を伝えると、作業まで実行する |
| 手を動かすのは | 自分 | AI |
| たとえるなら | 相談相手 | 作業を任せられる相手 |
対話型は「こうすればできますよ」と教えてくれます。エージェント型は「やっておきました」と結果を持ってきます。
この差が、そのまま10倍の差になっています。
前回の記事で書いた献立管理アプリも、エージェント型だから作れました。プログラミングを知らない私が「こうしたい」と伝えるだけで、実際に動くものができあがる。対話型の時代には不可能でした。
何に使っているか
正直に言うと、業務のほぼ全域です。
- 調べもの
- 文章を書く
- メールの下書き
- 翻訳
- 要約
- 資料づくり
- Excelの数式
- エラーの原因調べ
- アプリづくり
書き出してみて、自分でも驚きました。IT担当としての仕事も、事務職としての仕事も、両方に入り込んでいます。
一番効いているのは「調べ物と要約」
この中で、圧倒的に効果が大きいのは調べ物と、その要約です。
以前の調べ物は、こういう作業でした。
- 検索する
- 出てきた記事をいくつも開く
- 書いてあることを読み比べる
- どれが自分の状況に当てはまるか判断する
- 必要な部分を抜き出してまとめる
特に3と4に、膨大な時間を使っていました。 情報が古い記事、自社と条件が違う記事、宣伝目的の記事——これらを見分ける作業です。
今は、状況を説明すれば、その状況に合わせた答えが返ってきます。しかも要約された形で。
ひとりIT担当にとって、「調べる」は仕事の大半です。相談できる人が社内にいないので、全部自分で調べるしかない。そこが速くなったのは、想像以上に大きいです。
具体的に何が変わったか
① 営業日単位の作業が、数分になった
以前なら「今日いっぱいかかるな」と覚悟していた調べ物が、数分で片づくことがあります。
これは単に「速くなった」という話ではありません。その日の予定が変わります。 一日仕事だと思っていたものが午前中に終われば、午後を別のことに使えます。
② 諦めていた作業に、手を出せるようになった
こちらのほうが本質的だと思っています。
「やったほうがいいのは分かっているけれど、自分には無理だ」と諦めていたことが、いくつもありました。その線引きが、明らかに動きました。
アプリを作るなんて、3年前の私には考えられないことです。でも今は、作れます。
できることが増えるというより、「無理だと思う範囲」が狭くなる——この感覚が一番近いです。
ただし、AIは万能ではありません
ここは、はっきり書いておきます。
AIは時々間違えます。だからチェックは人間の仕事です。
もっともらしい顔で、事実と違うことを言ってきます。しかも、自信のなさそうな素振りを見せません。 そこが厄介です。
投げっぱなしは、絶対によくありません。
特に、以下のようなものは必ず自分で確認します。
- お金に関わること(料金、契約条件)
- 設定を変える操作(元に戻せないもの)
- 公式の仕様(バージョンによって違うことが多い)
私はIT担当として「分からないことは必ず調べる」を大事にしていますが、AI時代になっても、この姿勢は変わりません。 むしろ重要になりました。
AIは調べる速度を上げてくれますが、正しさを保証してはくれません。 最後に責任を持つのは人間です。
そして、社内で使っているのは私だけです
3年経ちましたが、社内でAIを業務に使っているのは、今も私一人です。
勧めたことがないわけではありません。でも、まだ抵抗があるのが実情です。
- よく分からないものに情報を入れるのが不安
- 自分の仕事が奪われるのではないかという警戒
- そもそも、何に使えるのか想像がつかない
どれも、理解できる感覚だと思います。私自身、最初は半信半疑でした。
ここに、ひとりIT担当のジレンマがあります
私一人が10倍速くなっても、会社全体が10倍になるわけではありません。
本当に会社を変えるなら、他の人にも使ってもらう必要があります。でも、「便利だから使って」と言うだけでは、まず動きません。
これは技術の問題ではなく、人の問題です。そして、たぶんこちらのほうが難しい。
今、私は経費申請の作業をAIで何とかできないか考えています。そこでも、この壁にぶつかるはずです。 作れたとしても、他の人が使ってくれなければ意味がありません。
その過程も、このブログに書いていきます。
まとめ
生成AIを3年使った、非エンジニアの実感です。
- 対話型からエージェント型へ。作業効率は体感10倍になりました
- 一番効いているのは調べ物と要約。ひとりIT担当の仕事の大半がここです
- 営業日単位の作業が数分に。そして「無理だ」と思う範囲が狭くなりました
- ただしAIは間違えます。チェックは人間の仕事です。投げっぱなしはいけません
- そして、社内で使っているのは今も私だけです
最後に、同じ立場の方へ。
専任を置けない会社ほど、AIの恩恵は大きいと思っています。人を増やせない代わりに、一人でできる範囲が広がるからです。
3年前の私に一言だけ伝えられるなら、「思っているより、ずっと使える」と言います。
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