最初に、書かないことを書いておきます
11年ひとりIT担当をやってきて、一番怖かった出来事について書きます。
ただし、何のシステムで、どういう構成だったのかは書きません。
理由は単純で、それを書くことは会社の弱点を公開することになるからです。「うちはこういう仕組みで、こう壊れました」と書けば、記事としては読み応えが出るでしょう。でも、それは同時に「ここを狙えば壊せます」と教えることでもあります。
同じ立場の方にも、これは覚えておいてほしいところです。トラブルの話を外で共有するときは、必ず抽象化してください。 助けを求めるときも同じです。
この記事では、何が起きて、何を学んだかだけを書きます。
起きたこと
ある日、データが消えかけました。
そして、業務が止まりました。 10人の会社なので、止まるときは全員が止まります。
幸い、最終的にデータは失われずに済みました。でも、あの日のことは今も覚えています。
一番怖かったのは「エラーで気づいた」ことです
私が異常に気づいたきっかけは、エラーが表示されたからでした。
これは、後から考えるとかなり怖いことです。
エラーが出なければ、私は気づいていませんでした。
誰かが教えてくれたわけでも、定期的な点検で見つけたわけでもありません。システムのほうから「異常です」と言ってくれたから、たまたま気づけただけです。
もし静かに壊れていたら。もしエラーが出るのがもっと後だったら。そのまま進行していた可能性があります。
ひとりIT担当の怖さは、ここにあると思っています。誰も見張っていないので、気づけるかどうかは運次第になりがちです。
「業務が止まる」ということ
大きな会社なら、システムが1つ止まっても、他の部署は動き続けます。でも10人の会社では違います。
全員が同じ仕組みを使っているので、止まるときは全員が止まります。
そして、その場にいる「IT担当」は私一人です。社内に相談できる人はいません。全員が待っている状態で、自分だけが対応している——この状況は、精神的にかなりきついものがありました。
技術的な難しさより、「早く直さなければ」というプレッシャーのほうが重かったというのが正直なところです。
その日から変えたこと
無事に済んだあと、2つのことを変えました。
① バックアップを見直した
それまでも、バックアップの仕組みはありました。でも、「設定してある」という認識でしかありませんでした。
見直すときに確認したのは、この2点です。
最後に成功したのはいつか
バックアップは、静かに止まります。容量がいっぱいになった、設定が変わった、機器が壊れた——理由はいろいろですが、止まっても誰も教えてくれません。
「設定してあるから大丈夫」は、確認していないという意味でしかありませんでした。
本当に戻せるのか
これが本質です。バックアップは「取ること」が目的ではなく、「戻せること」が目的です。
取れているように見えて、いざ復元しようとしたら中身が壊れていた——という話は珍しくありません。1ファイルでいいので、実際に戻す練習をしておくべきだと痛感しました。
② ルールを作った
もう一つは、ルールを決めたことです。
それまでは、すべて私の頭の中にありました。何をいつ確認するか、何かあったときにどうするか——全部、その場の判断です。
それでは、忙しくなった瞬間に抜け落ちます。 実際、抜け落ちていたから、あの日が起きました。
大げさな規程を作ったわけではありません。表1枚で十分です。前にも書きましたが、立派な仕組みは続きません。続くものだけが役に立ちます。
同じ立場の方へ:今日確認してほしい3つ
この記事を読んで、もし一つでもやっていただけるなら、これです。どれも10分かかりません。
① バックアップが「最後に成功した日」を見る
設定画面を開いて、日付を確認してください。先月で止まっていたというケースは、本当によくあります。
② 1つだけファイルを戻してみる
これが一番大事です。戻せないバックアップは、無いのと同じです。テスト用のファイルを1つ復元してみるだけで確認できます。
③ エラー通知が「今も読めるアドレス」に届くか確認する
私はエラーのおかげで気づけました。でも——
その通知は、ちゃんとあなたに届いていますか?
小さな会社では、通知の宛先が退職した人のアドレスのままになっていることがあります。実際、契約サービスを洗い出したときに、そういうものが見つかりました。
誰も読んでいない受信箱に、警告だけが溜まっている。 これが一番怖い状態です。
まとめ
11年で一番ヒヤッとした日から学んだことです。
- 気づけたのは、たまたまエラーが出たからでした。運に頼る状態は危険です
- 小さな会社では、止まるときは全員が止まります
- バックアップは「取ること」ではなく「戻せること」が目的です
- 頭の中のルールは、忙しくなると必ず抜けます
そして、あの日から意識が変わりました。
IT担当の仕事は、トラブルを直すことだと思われがちです。でも本当の仕事は、トラブルが起きないようにすることです。
そして、そちらの仕事は誰にも呼ばれません。 自分で気づいて、自分でやるしかありません。
地味な確認作業を続けている方がいたら、それは正しいことをしています。何も起きていないのは、あなたのおかげです。
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