私は兼任です
従業員10名ほどの会社で、11年ひとりIT担当をしています。専任ではありません。 本業は事務で、ITは兼任です。
小さい会社のIT担当は、たいてい同じ形だと思います。「詳しそうだから」で任され、本来の仕事と並行してやる。専任でやれている人のほうが少ないはずです。
この記事では、兼任の時間がどう流れているかを、11年分の実感で書きます。
IT業務は、体感で4割です
正確に測ったことはありません。体感ですが、週の4割がITに使われています。
| 割合 | |
|---|---|
| 事務(本業) | 6割 |
| IT | 4割 |
正直に言うと、始めた頃はここまで多くなるとは思っていませんでした。「たまにパソコンを見る人」のつもりで引き受けたのに、気づけば仕事の半分近くになっていました。
これは私の会社が特殊なのではなく、ITが業務の土台になった結果だと思っています。全員が毎日パソコンとクラウドで仕事をしていれば、それを見る人の仕事も増えます。
IT業務には、2種類あります
同じ「IT業務」でも、性質がまったく違うものが混ざっています。
| 種類 | 例 | 時間の読みやすさ |
|---|---|---|
| 決まった仕事 | アカウント発行、契約の更新、月次の確認、入退社の対応 | 読める |
| 突発の仕事 | 「動かない」「開けない」「消えた」 | 読めない |
決まった仕事は、事務と同じように予定に組み込めます。問題は突発のほうです。 いつ来るか分からず、来たら止まるまで終わりません。
4割のうち、体感では半分以上が突発です。つまり、週の2割は「いつ発生するか分からない仕事」で埋まっています。これが兼任の時間を読めなくしている正体です。
依頼が来たら、すぐ対応しています
事務の作業中にIT依頼が来たとき、私は基本的にすぐ対応します。 後回しにしません。
理由は3つです。
① 相手の仕事が止まっている
「パソコンが動かない」と言っている人は、その間、何もできません。私が5分後回しにすると、相手も5分止まります。 自分の作業を守るために相手を待たせるのは、割に合いません。
② 小さいうちに片づく
トラブルは、放っておくと大きくなります。「印刷できない」が「保存もできない」になり、「再起動したら起動しない」になる。早く見るほど、短く終わります。
③ 忘れる
「あとで見ます」と言って、本当にあとで見た記憶が、私にはあまりありません。事務に戻ると、頭がそちらに切り替わって忘れます。 忘れないためには、その場でやるしかありませんでした。
すぐ対応する分、事務のほうは細切れになります。それは受け入れています。 「パソコンが動かない」と呼ばれる毎日に「11年、基本的に断っていません」と書いた通りです。
一日中ITだった日は、あります
「今日は事務が一歩も進まなかった」という日は、11年で何度もありました。
決まって、トラブルが起きた日です。
- 朝、誰かのパソコンが起動しない
- 見ているうちに、別の人から「私も変です」と言われる
- 原因を探しているうちに昼になる
- 直ったと思ったら、別の症状が出る
こういう日は、事務の仕事が丸ごと翌日に押し出されます。 締め切りがある事務と重なると、翌日は事務を倍やることになります。
これを防ぐ方法は、正直に言うとありません。 トラブルは選べません。できるのは、普段の事務に少し余裕を残しておくことだけです。私はそうしています。
一番きついのは、頭の切り替えです
時間が足りないことより、突発が多いことより、私が一番きついと感じているのはこれです。
事務とITは、使う頭が違う。
| 事務 | IT(特にトラブル対応) | |
|---|---|---|
| 求められるもの | 正確さ、手順通り | 原因の推測、判断 |
| 頭の使い方 | 決まった流れをミスなく進める | 分からないことを切り分ける |
| 途中で止めると | 続きから再開できる | どこまで調べたか、消える |
事務は「決まったことを間違えずにやる」仕事です。ITのトラブルは「何が起きているか分からない状態から、原因を絞っていく」仕事です。同じ人間が同じ日にやるには、頭の向きが逆すぎます。
特にきついのは、トラブル対応の途中で事務に戻され、また戻ってくるときです。「さっき何を試したか」が頭から消えています。もう一度最初から切り分けることになります。
11年やって、これに慣れることはありませんでした。慣れるものではないのだと思っています。
それでも、減ったものはあります
解決したわけではありませんが、以前より楽になった部分はあります。
① 仕組みで防いだ分、突発が減った
10人の会社のセキュリティルールに書きましたが、うちのセキュリティルールは「守ってもらう」のではなく「破れなくする」形にしています。USBを認識しない設定にする、といったものです。人の判断に頼る場面を減らすと、突発の呼び出しも減ります。
② 調べる時間が短くなった
トラブルの原因を調べるとき、以前は検索して、似たケースを読んで、自分の状況に当てはめ直していました。今は対話型のAIに状況をそのまま説明できます。切り分けにかかる時間が、目に見えて短くなりました。 これも相談相手がいない11年間の話に書いています。
③ 「これはあとでいい」が分かるようになった
すぐ対応すると書きましたが、11年やると「これは止まっていない」依頼も見分けられるようになります。 「できれば直してほしい」と「今すぐ困っている」の違いです。前者は、事務の区切りまで待ってもらいます。
兼任の人へ
- IT業務は、思っているより多くなります。 私は4割です
- そのうち半分以上が突発で、ここが時間を読めなくしています
- 依頼はすぐ対応しています。相手が止まる、大きくなる、忘れる、の3つが理由です
- 一日中ITの日は、防げません。 事務に余裕を残しておくしかありません
- 一番きついのは時間ではなく、頭の切り替えです。11年経っても慣れません
「兼任だから中途半端になる」と感じている方へ。それは能力の問題ではなく、性質の違う仕事を一人でやっている構造の問題です。自分を責めるところではありません。
私にできたのは、突発を仕組みで減らすことと、事務に余裕を残すことだけでした。それで十分回っています。
あわせて読みたい
- 「パソコンが動かない」と呼ばれる毎日|11年、基本的に断っていません
「呼ばれる毎日」を断らない理由 - 10人の会社のセキュリティルール5つ、全部守られています|「守ってもらう」のではなく「破れなくする」
突発を仕組みで減らした話 - 社内に相談相手がいない11年間を、どう乗り切ってきたか|答えは2023年に来ました
調べる時間が短くなった理由
