先に結論を書きます
必要です。 これは断言できます。
しかも、本音を言えば専任がいるべきだと思っています。
ただし——うちの規模では、置けません。
矛盾しているようですが、これが10人規模の会社の現実だと思います。この記事では、11年ひとりでIT担当をやってきた立場から、正直なところを書きます。
もし私がいなかったら、どうなっていたか
想像ではなく、私が担当になる前が、まさにその状態でした。
① 何もされずに放置されていた
前任者はいませんでした。つまり、それまで誰もIT担当をしていなかったわけです。
その結果どうなっていたかは、会社の契約を誰も把握していなかった話に書いた通りです。
- 会社が何のサービスに契約しているか、誰も把握していない
- 退職した人の個人アカウントで契約されているサービスがある
- セキュリティ関連のサブスクが、誰にも認識されないまま契約されている
放置は「何も起きていない」という意味ではありません。 気づかないうちに、リスクだけが溜まっていきます。
② トラブルのたびに、業者を呼んでいた
もう一つが、これです。何か起きるたびに外部の業者に来てもらう。
一見、合理的に見えます。専門家に任せるのですから。でも、実際には問題があります。
「そのつど業者を呼ぶ」の隠れたコスト
お金の話だけではありません。
① 待ち時間が発生する
呼んでから来てもらうまで、業務が止まります。1日止まれば、10人の会社なら10人分の時間が失われます。
② 毎回、説明からやり直しになる
自社の状況を知らない人が来るので、「うちはこうなっていて」という説明を毎回します。その説明ができる人が社内にいなければ、そもそも話が始まりません。
③ 対症療法にしかならない
呼ばれた業者は、目の前の問題を直して帰ります。「そもそもなぜ起きたのか」「今後どうすべきか」までは踏み込みません。 契約範囲外だからです。
結果、同じトラブルが何度も起きます。
④ 予防ができない
一番大きいのがこれです。業者は「起きてから」呼ぶものです。起きないようにする仕事は、社内の人間にしかできません。
バックアップが動いているか確認する。契約の更新日を管理する。退職者のアカウントを止める。これらは全部、事故を防ぐ仕事です。 そして誰も呼ばれません。
本音を言えば、専任がいるべきです
私は事務の仕事との兼務です。事務をやりながら、IT担当をしています。
正直に言うと、これは無理があると思っています。
理由はシンプルで、IT担当の仕事は「割り込み」だからです。
事務の仕事を進めているときに、「パソコンが動きません」と呼ばれます。断れません。止まっている人がいるからです。そして戻ってきたときには、さっきまで何をしていたか思い出すところから始まります。
この繰り返しで、両方の仕事の質が落ちます。
さらに、兼任だと「予防の仕事」が確実に後回しになります。 目の前で人が困っている作業が優先されるからです。バックアップの確認は、誰も催促してこないので、いつまでも後回しになります。
でも、うちには置けません
では専任を雇えるかというと、無理です。
理由は身も蓋もありませんが、会社の規模と予算です。
従業員10名の会社で、IT専任を1人置く。人件費を考えれば、それがどれだけ大きな判断かは明らかです。その1人を営業や実務に回したほうがいいという経営判断は、間違っていません。
「必要だと分かっているが、置けない」——ここが、この規模の会社の本当の苦しさだと思います。
外注(情シス代行)はどうなのか
「それなら外注すればいい」という話になります。実際、IT運用を代行してくれるサービスは増えています。
私の現時点での結論は、うちには合わないです。
理由は、専任を置けないのと同じ——会社の規模と予算です。
月額で継続的にかかるコストを、10人の会社が負担できるか。そして、その金額に見合うだけの仕事量が、そもそもうちにあるのか。
代行サービスの説明を読むと、想定されているのはもっと大きな会社だという印象を受けます。50人、100人という規模なら、話は変わってくるはずです。
ただし、否定しているわけではありません
規模が合えば、有効な選択肢だと思っています。
- 専任を雇うより安い
- 属人化を避けられる
- 担当者が辞めても続く
「何人規模から、外注が現実的になるのか」——これは私自身が知りたいところです。今後調べて、記事にするつもりです。
では、どうすればいいのか
必要だけれど専任は置けない。外注も規模が合わない。
だとすれば、兼任で回すしかありません。 それが現実です。
そのうえで、11年やってきて言えることを3つ書きます。
① 全部やろうとしない
兼任者が全部を完璧にやるのは不可能です。やらないことを決めてください。
私は「予防に関わることだけは死守する」と決めています。逆に、体裁を整える作業や、立派な資料を作る作業は捨てました。
② 最低限、この3つだけは押さえる
もし時間がまったく取れないなら、これだけでも。
- バックアップが本当に動いているか(設定してあるだけ、は危険です)
- 退職者のアカウントが残っていないか
- 何に契約していて、いつ更新が来るか
この3つは、事故が起きたときの被害が桁違いに大きいところです。
③ 「判断」は会社に返す
兼任者が判断まで背負うと、潰れます。
あなたの仕事は、選択肢とコストとリスクを整理して、会社に出すことです。決めるのは会社です。これは責任逃れではなく、判断の経緯を会社に残すという、正しい仕事の形だと思っています。
AIが、この状況を少し変えつつあります
最後に、希望のある話を書きます。
私は2023年から生成AIを業務に使っています。そして、兼任者にとって、これはかなり大きいと感じています。
調べる時間が減りました。「何が分からないのか分からない」状態から抜け出すのが、圧倒的に速くなりました。
専任を置けない会社ほど、AIの恩恵は大きいのではないかと思っています。人を増やせない代わりに、一人あたりができる範囲が広がるからです。
もちろん、AIが全部を解決するわけではありません。それでも、11年前と比べれば、兼任でも回せる範囲は確実に広がりました。
まとめ
10人の会社にIT担当は必要か。 私の答えはこうです。
- 必要です。 いなければ、リスクが静かに溜まっていきます
- 本音では専任がいるべきです。兼任は割り込みで潰されます
- でも規模と予算で置けません。 これが現実です
- 外注も、この規模では合いません。 ただし否定はしません
- だから兼任で回すしかない。 そのために「やらないこと」を決めてください
理想は分かっています。でも、理想が実現できない会社のほうが多い。
このブログは、その「実現できない側」にいる人のために書いています。
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