私は、この会社の社員ではありません
従業員10名ほどの会社で、11年ひとりIT担当をしています。事務仕事と兼任です。
このブログでは何度か触れていますが、私はこの会社の社員ではありません。業務委託です。
そして、最初からそうだったわけではありません。 社員として入り、途中で業務委託に切り替わりました。
同じ会社で、同じ仕事を、立場だけ変えて続けています。両方を経験した人間は、そう多くないと思います。 その視点から書きます。
(切り替わった経緯は会社側の事情に触れるので書きません。ここでは「変わった後に何が違ったか」だけを扱います)
変わったのは、2つだけでした
正直なところ、日々の仕事の中身はほとんど変わっていません。
- パソコンの不具合に呼ばれる
- アカウントを作る
- 契約を管理する
- 「これどうやるの」と聞かれる
やっていることは社員時代と同じです。席も、話す相手も変わりません。
大きく変わったのは、次の2つです。
| 変化 | |
|---|---|
| 報酬 | 決まり方が変わった |
| 自由度 | 上がった |
そして、この2つ以上に効いたものが1つありました。
責任範囲が、契約書に書かれました
これが一番大きい変化です。
業務委託になると、契約書を交わします。 そこには「何をやるのか」が書かれています。
社員のときには、そんなものはありませんでした。
社員時代、責任範囲は「なんとなく」でした
思い出すと、こういう状態でした。
- 誰がIT担当か、明文化されていない
- 「詳しそうだから」で仕事が集まってくる
- どこまでが自分の仕事か、誰も定義していない
IT担当を11年やって捨てた思い込みの記事に、当時こう思っていたと書きました。
IT担当は全責任を負わなければいけない
なぜそう思っていたのか、いま分かります。範囲が決まっていなかったからです。
境界線が引かれていなければ、「全部」以外に答えがありません。 何かトラブルが起きたとき、「それは自分の担当ではない」と言える根拠がどこにもない。だから全部が自分に降ってくる気がしていました。
契約書は、線を引いてくれます
業務委託の契約書には、やることが書いてあります。
書いてあるということは、書いていないことがあるということです。これが決定的でした。
「全部やる」から、「これをやる」に変わりました。
不思議なもので、範囲が決まったほうが、気持ちが軽くなりました。
それでも、私は断りません
ここで矛盾しているように見えるかもしれません。
「パソコンが動かない」と呼ばれる毎日の記事に、私はこう書きました。
11年、基本的に断っていません
プリンタの紙詰まりも、Excelの使い方も、備品の発注も、写真の加工も引き受けています。契約書に「写真の加工」とは書いていません。
では、なぜ引き受けるのか。
書いてあることが決まっているから、それ以外を気持ちよくやれる。
これが実感です。
範囲が曖昧なまま何でも引き受けていると、「どこまで飲み込まれるのか」という不安がつきまといます。線があると、そこから先は自分の判断で出していることになる。
やらされているのではなく、やっている。 この違いは、思っている以上に大きいです。
自由度が上がりました。責任も伴いますが
もう一つの変化です。
働き方の自由度は、明確に上がりました。
ただし、責任は伴います。 成果が出せなければ、それは自分の責任です。「言われた通りにやりました」は通用しません。
私はこの交換を、割のいい取引だと思っています。
理由は、生成AIを3年使って仕事がどう変わったかの話に繋がります。自分で判断して動ける範囲が広いほど、AIを使って一気に片づけられる仕事が増えるからです。指示待ちの立場では、この効率は活かせません。
不安は、特にありません
「業務委託は不安定では」と聞かれることがあります。よく挙がるのは、このあたりです。
- 収入が不安定
- 社会保険が自分持ち
- 契約が切られたら終わり
正直に書きますが、私は不安を感じていません。 理由は1つです。
他にも仕事ができるからです。
社員であれば、収入源は会社ひとつです。その会社が傾けば、それで終わりです。
業務委託は違います。時間を自分で配分できるので、他の仕事を持てます。 実際、私はこのブログも含めて、いくつかのことを並行してやっています。
1社に依存しないこと。 これが、私にとっての安全装置です。
「不安定だから怖い」ではなく、「依存先が複数あるから怖くない」という順番です。
ただし、誰にでも勧められるわけではありません
ここは正直に書きます。
私がこう言えるのは、11年やった後だからです。
- 仕事の中身をすでに理解している(引き継ぎ相手が自分だった)
- 会社との関係ができている
- 収入の柱を複数にする時間があった
いきなり業務委託から始めていたら、まったく違う感想になっていたはずです。順番が逆だったら、私も不安だったと思います。
そして、事務手続きは自分でやることになります。
- 確定申告(私は青色申告を8年続けています)
- 経費の管理
- 社会保険の切り替え
このあたりは、会社が全部やってくれていたことです。 引き受ける覚悟は要ります。
(確定申告については業務委託の確定申告、最初にやることに書きました。8年やった実感で言えば、慣れれば作業自体は大したことがありません)
同じ立場の人へ
まとめます。
- 社員から業務委託に変わり、同じ会社で同じ仕事を続けています
- 変わったのは報酬と自由度。仕事の中身はほぼ同じです
- 一番効いたのは、責任範囲が契約書に書かれたこと
- 範囲が決まったほうが、気持ちが軽くなりました
- 範囲があるから、それ以外も気持ちよく引き受けられます
- 不安がないのは、他にも仕事ができるからです
もしあなたが社員のひとりIT担当で、「どこまでが自分の責任か分からない」と感じているなら——
それは、あなたの能力の問題ではありません。 線が引かれていないだけです。
契約書がなくても、線を引く方法はあります。「担当範囲を書き出して、上長に見せる」だけでも違います。合意が取れなくても構いません。書き出した時点で、自分の中に境界ができます。
11年かけて分かったのは、そういうことでした。
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